チームの期待を揃えるドラッカー風エクササイズのすすめ

May 26, 2021

こんにちは、naoと申します。最近は株式会社KASUGAのみなさんが働きやすくなるよう考えるお仕事をしています。
私の名前は結婚を機に下の名前で呼んでいただくようにし、それで定着しています。名刺は旧姓のままなのですが、病院などは新姓なのでいろいろ紛らわしいなと思っているので…笑、この際区別をつけずファーストネームを名乗っています。このブログを見ていただく方にも気軽にそう呼んでいただけたらうれしいです。

さて、私たちはチームですが、みんなリモートでそれぞれ仕事をしています。働く時間も働く環境も違う私たちがどのようにして、チームを意識するのか、ひとりではできないことを成し遂げお客様に価値を提供するのか。今回の記事はそういった話です。

「正解」を探す難しさ

IT相談、システム開発・改善、ITに関するアドバイスなど…私たちが提供できるサービスはさまざまですが、どれにしても明確な「良い」という答えがないものばかりです。

「良いもの」とは一体なんなのか

たとえば「良いマップアプリ」と言われて想像するものはどんなものでしょうか。「一番早く到着できる経路が知りたい」「定期を使って安上がりに行ける経路が知りたい」「車で行くので渋滞していない道が知りたい」などなど、人によって、また同じ人でも利用シーンについて「正解」はいつも違います。

実際制作する過程についても同じです。納期、品質、コスト、ブランディングなど、シーンや希望によって優先するものが違います。そうやって優先すべきものを探し、「正解」を求める作業はとても難しい。ですが、難しいことにチャレンジし、価値を提供していきたい。そのために、チーム内で期待値を合わせるための「ドラッカー風エクササイズ」を実践してみました。

ドラッカー風エクササイズとは

ドラッカー風エクササイズは、書籍「アジャイルサムライ」で紹介されたチームビルディングの手法です。4つの質問に全員が答えることで「自分がどういう人なのか」「どういうことを考えているか」を表明します。
この質問を経て相互理解と期待のすりあわせという効果があり、特にプロジェクトのミッションがアップデートされた場合に効果的だといわれています。

4つの質問

・ 自分の得意なこと、強みはなんですか?
・ 仕事をする上で大事にしていることはなんですか?
・ 仕事をする上で自分が周囲に求められていると思うことはなんですか?
・ チームメンバーにどういうことを求めますか?

決まった「正解」もないこの質問を投げかけてみることで、それぞれの個性が見えてきます。

まず、自分の得意なことを伝え、且つメンバーからはどんなことをお願いしてよいのかが可視化されます。
その上で、仕事をする上でどんなことを大事にしているかという価値観や、求められていること、また求めることを可視化することで、チームメンバー同士の期待のすり合わせや、安全なチーム運営、ひいてはチームの成長を目指します。

どんなふうに質問した

本当なら全員で集まってワークするべきではあるのですが、海外で働いているメンバーがいたり、zoomでの長時間ミーティングになってしまうは好ましくないと感じたため、私がそれぞれにzoomでインタビューを実施しました。

事前にSlackで4つの質問を投げかけ、「こういった内容を質問するので用意しておいてください」とお伝えしました。それだけでも、チーム内での反応が違っていました。了解です!とお返事をくださる方、質問内容について注意深く確認してくださる方、質問の回答をまず簡潔にまとめてくださる方……それだけを見ても、チームの面々の個性を感じました。

得意なことや、その得意なことはどうして出来上がったのか、また仕事をする上で大事にしていることはそれぞれ違います。同じ人生を歩んできている人はだれひとりとしていないので、4つの質問から更に「どうして得意なことが得意になったのか」「どういうときに楽しみを見出すか」などの質問で、チームメンバー全員のバックグラウンドや考えていることを掘り下げていくようにしました。

回答をピックアップしてみる

4つの質問はただ考えてみるだけでなく、実際にほかの人がどう考えているか打ち明けるのが大事です。
そのため、インタビューしたときの回答をできるだけつぶさに記述して、社内に共有しています。回答をいくつかピックアップしてみます。

1. 自分が得意なこと

Aさん:チーム内のバランスを取る  
Bさん:抽象的なことをコンテンツ・デザイン・実装などあらゆる手段で具現化すること
Cさん:映像編集、そのあとに映像設計、情報を含めた設計
Dさん:新しい技術を覚えること(技術の範囲に制限はなく、興味範囲が広い)

2. 大事にしていること

Aさん:自分だからこそ価値が提供できることを考え、突き詰めたい
Bさん:顧客が求めていることについて、自分がどう価値が発揮できるかを考えたい
Cさん:クライアントから直接声を聞き、完成時に喜んでもらえるのがうれしい
Dさん:与えられたタスクには、最大のできるスキル、できる幅でトライする

3. 周囲に求められていること

Aさん:ビジネスにおいても、技術面においても価値を認識できる
Bさん:具現化するだけでなく、その先にある事業をどう広げていくか考える
Cさん:自分の持っているスキルを、どのように営業しているかを考える
Dさん:とにかくコードを書きつつ、他の人の技術サポートを行う

4. チームメンバーに求めること

Aさん:個々人が強みを最大限発揮してほしい、役割が変化してもトライしてほしい
Bさん:細かく真剣に話し合える相手と仕事をしたい、率直に意見をぶつけてほしい
Cさん:チームでやるからには、お互いに支え合ってフォローしあいたい
Dさん:自分が向き合っていることに対して最善だと思える方法をとってほしい

こうして見ていると、まったく別のことを得意だと言っている人も同じことを考えていたり、求めていたりすることがわかります。また、この回答を踏まえて、週次のMTGなどに「こういうことが得意」「こういうバックグラウンドなんだ」という会話が増えてもいます。

まとめ

「ドラッカー風エクササイズ」は自分やチーム内の内面をほかのメンバーと共有することで、チームの相互理解をはかり、信頼関係をつくる手助けをする手法です。チーム内の状況は日々変化するので、プロジェクトのミッションが変わったり、チームにメンバーが増えたタイミングでアップデートするのが望ましいとされています。
私たちのチームも日々変化をしているので、定期的にこの質問をして、そのときどきでチームへの理解を深められたらと思います。

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